小さいゲームとiAdの関係

http://itunes.apple.com/jp/app/fencell/id411268132?mt=8
 iTunes Connectが冬休みから復帰して、これのプレイ時間計測が7日分できましたので報告を。
 ちなみにダウンロード数は全然なので信頼性は今一つどころではない気もしますが、待っていても増える保証も無いため、とりあえず暇なうちに…と。

#プレイヤーごとの平均プレイ時間
3.42[min / player](世界)
5.75[min / player](日本)
2.23[min / player](日本以外)

 ゲーム中はiAdをクリック不能にして常時表示してあるため、それに対して30秒ごとに来る表示リクエスト数から推測した数字です*1。慣れないと30秒持たない即死ゲーにしては、思っていたより上出来な数字でした。
 …と、さて、これで計測が可能であることが解りましたし、あとは新しいゲームをリリースした時など、状況が変わる際に出る数値を見守っていれば良いわけですが、せっかくですから収益率についても計算してみましょう。以下は現在の数値です。

#広告表示率
8.28%(世界)
75.3%(北米)
58.3%(イギリス)
45.6%(フランス)
0.00%(他)

 現状ではiAdが始まっていない国が大多数なため全然駄目ですが、仮に100%になったとすれば、表示あたりの収益(クリックの収益が混じっているため推測で、0.4〜0.5セント程度)にリクエスト数(30秒を単位としたプレイ時間)を掛けて、プレイヤーあたり3セント程度になる計算です。

#表示あたりの広告クリック率
0.47%*2

 それに運任せの臨時収入として、クリックあたりの収益(1クリックが1ドルちょっとと推測)が加わります。
 もちろん表示率100%は無茶な数字としても、iPhoneでは無料版から有料版へ誘導できるのは数%行けば良いほうという話も結構聞きますし、有料版との差別化が難しく、かといって有料版のみでは厳しそうな小さいゲームに関しては、将来の選択肢としてiAdはまだ消えてないのではと思いました。

*1:圏外の端末や、速度的な都合でiAdを切っているiPhone3Gは検出できませんし、過少な方向に誤差はあると思います。

*2:前述の通りゲーム中は押せない仕様にしてあるため、それによる機会損失を含んだ数値です。どの程度かは謎ですが。

セル?オートマトン

 原作のP/ECE版の頃に「爆発処理はセルオートマトンか」と聞かれたことを思い出したので、それに関して説明しておくと、たぶん違うのではと思ってます。
 格子状のセルが内部状態を保持している点は当てはまりますが、セルが近傍の状態を参照して爆発を拡散させているわけではなく、拡散は爆発セルの座標を収めた配列で集中して行い…とか書くと難しそうですが、要は、ちゃっくんぽっぷ風に単純化した処理です。

 爆発の付近しか計算しないため十分に軽く、まあiPhoneならばもっとモダンな処理でも大丈夫だったんでしょうけど、そこを変えるなら違うゲームにしたくなるため、今回は調整程度のリメイクに留めています。
 根本的な改変は機会があれば…と思いつつ、それはそれとして、ちゃっくんぽっぷは何故リメイクされないんでしょ。爆発、水流、氷と、現代のマシンスペックを活かせるのに。

iPhoneと広告配信と趣味のゲーム作り

k_u2010-12-23

 叩かれる前に、言い訳ぽいものを書いておきましょう。
iPhoneの良さ
 趣味でゲームを作ろうとしたとき、スペックが明確で機種依存に悩まされることが少ないiPhoneには、標準機としての魅力を感じていました。
 それはかつてのPC-9801のような存在かもと思っているのですが、いざソフトを配布するとなると手段がAppStoreに集約されていて、同じ感覚というわけにはいきません。
 好きに作って無保証で置きっぱなしにしておくわけにもいかず、かといって、ちゃんと作って有料にしようにも、広すぎるAppStoreの客層に対して何を作ったら良いのか今一つピンと来ず…と、どうも一歩を踏み出すのに躊躇していたのですが、ふと、広告配信を入れるのも有りではと思い始めました。
■広告の副産物
 単価とクリック率の低さに泣けてくるのは事実のようですが、最初から期待しないのならば話は別です。
 広告の表示依頼数とゲームの稼働状況は連動するため、アクティブなプレイヤーの存在を(既存のシステムを流用して)知ることができる点で、開発意欲に繋がるのではないでしょうか。
 もちろん、画面と処理能力の一部を提供することによる制約も多々あるわけですが、前者に関しては表示タイミングの調整で、後者は端末の高性能化で結構なんとかなる*1と思いますし、雰囲気を絶対に崩したくない場合を除けば、考えてみるだけの意味はあるのではと。
(ちなみにiAd表示時はバナークリックしても広告へ飛ばないようにして、スライド操作用に確保したスペースに出しっぱなしにしています。とりあえず審査は通ったので、こういう使い方もOKなのでしょう。)
■趣味でゲームを作った結果
http://itunes.apple.com/jp/app/fencell/id411268132?mt=8
 と、そんなこんなで、リメイクですが試験的に一本作ってみました。
 この方針であんまり苦情が来なければ、もう少し続けてみようと思います。

*1:とはいえ3Gには重荷でしたので、広告を出すのは3GS以降にしてあります。iAdはテスト広告以外見れないので、本番で大丈夫なのか不安も残るのですが…。

運と勘

http://www.4gamer.net/games/105/G010549/20100902048/

セッションタイトルは「ライトゲームなう」。ここで遠藤氏は,ライトゲームの基礎知識や,ライトユーザー向けゲーム企画におけるゲームデザインのコツなどを語った。

 部分的には何処かで語られている内容もありますけど、経験則の蓄積がまとまった形になっているのは、とても貴重だと思います。
 ただ、
http://www.4gamer.net/games/105/G010549/20100902048/screenshot.html?num=011

×高いゲーム性⇒○かんたん

 リスクリターンの構造を組み込む先が、ゲーム内でプレイヤーが行う「計画」「行動」のどちらなのかは分けて提示しないと、ちと誤解を招きそうな気がしました。
 細かい操作や素早い反応など、ハイリスクな「行動」は見るからに敬遠されるとしても、ハイリスクな「計画」に関しては、上達して視野が広がるまでは存在に気付かず単にマグレと思い込んでいたりとか、時にライトユーザー向けでも組み込めるケースは有るわけですから。
 ちなみに自分が、リスクコントロールを意識しつつランダムな事象を組み込む際に気をつけている*1点は、だいたい以下な感じで、

  • 一つの事象が影響する範囲は小さくして、それが集まってゲームの流れが出来るようにする。
  • 事象が結果に直結せず、プレイヤーが関与できる自由度を与える。
  • 事象を確定させるタイミングは、なるべく細かくゲームの流れに応じて行うようにする。
  • できれば完全なランダムではなく、事象の間に多少の関連性、法則性*2を持たせる。

 こう書くと仰々しいですけど、要は、落ちゲーで次のブロックが順次決定されたり、カードゲームで山から札を引いたりするような、確定と不確定が入り交じって勘を働かせる状況を作ろうとしているわけです。
 勘というのは無意識の経験的分析をした結果であり、仮に本当の山勘だったとしても、それを選択した本人の判断が含まれていますし、運を取り入れつつ能動的に遊んでもらうには、適当なキーワードと思うのですが、どうでしょう。

*1:気をつけているけど、必ず実行できているわけでは無いです。

*2:たとえば場に出ている札から、山に残っている札を推測させたりとか。あるいは「そろそろアレが出ても良いはず」という擬似乱数への期待も、これの一種に含まれるかも。

バランス・オブ・パワーとの距離

 調べ物でテクノカルチャー・マトリクス*1を眺めていたら、クリス・クロフォードの書いたコンピュータゲームと暴力性に関する項目に、こんな記述を見付けました。

 こうして表面的には暴力を避けているにもかかわらず、テレビゲームの実質は、根本的にパソコンゲームよりむしろ暴力的である。そのいい例が、これまでで最もあざやかなゲームのひとつとしてゲーム・デザイナーたちから広く注目を集めた『M.U.L.E.*2というゲームである。このゲームはもともとパソコン用に作られたもので、いかなる暴力も含まれていなかった。それなのに、最近出たセガのゲーム機用ヴァージョンでは、移植の際に、作者はこれまでの(そして成功した)暴力を含んでいないデザインに暴力的要素を盛り込むよう要請されたのである。

 セガ版なんてあったっけ…と思い、検索。
http://www.worldofmule.net/tiki-index.php?page=Sega+Genesis

The "Son of M.U.L.E." was in development by Dani Bunten in the early 1990'ies for the Sega Genesis video game console (known as Sega Mega Drive in Europe and Asia/Pacific). The game has never been published, but reached an alpha development stage. Dani did not complete it reportedly because EA insisted on adding "guns'n'bombs" to the gameplay. Dani didn't want to comply to that, which in the end led to the discontinuation of the project.

 プレイヤー間に同盟や条約が発生して、暴力の非効率性を理解できるようなデザインに持っていけたら素敵な気もしますけど、たぶん望まれているのは暴力が活用できるデザインでしょうし、取って付けた逆転アイテムみたいに扱われるのなら、こういう結末も、なんとなくは解るような気が。

*1:http://www.amazon.co.jp/テクノカルチャー・マトリクス-ICC-BOOKS/dp/4871882594

*2:http://megaui.net/fukuchi/misc/videogame/mule.html 何度も書くけど良いゲームです。

XNAゲームソフトウェアコンテスト2010

k_u2010-05-30

 告知くらいはこっちでと思ったまま、つい放置して半月近く。
 twitterの手軽さに慣らされてしまったとはいえ、何もかも億劫になってしまってはいけませんですね。
http://game.watch.impress.co.jp/docs/news/20100517_367580.html
 そんなわけでWindows Phone部門、「ikria」で一般部門賞と特別賞を受賞しました。
 またFANFUN系統のゲームですけど、吹き飛ばしきれない大きな塊にならないように粒子を適度にバラす必要があったりと、必要なアクションは結構変化しているはずです。
 いずれMarketplaceで配信される規約なはずですので、もしWindows Phone6.xをお持ちの方がいましたら、遊んでみてください。