世界の内側へ

k_u2004-11-01

http://bactive.vrtc.net/
http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20040518/cosmos.htm
http://www.itmedia.co.jp/news/articles/0405/14/news062.html
 今年のテクノメッセでもオーニソプターアドベンチャーを公開するとの情報があったため、急遽日帰りで岐阜の山中まで見に行ってきました。
■ ハード(原理寄り)
 O.R.B.S.*1などのイメージが強く「広い視界=頭部を中心に置く球体ディスプレイ」のような先入観があったのですが、ゲーム開始後はゲーム中の距離感が優先され、スクリーンの継ぎ目やピント調節により「四角い部屋」を意識してしまうことは殆どありません。
 あとは原理的には完全に近い立体感が得られるはずですし、シートから身を乗り出して眼下を眺望したりと、様々な楽しみ方にも対応できるはずです。
■ ハード(現実寄り)

  • 全方向に外側から投影するため、恐ろしく場所を食う。(櫓を作らず床下や天井裏を活用したり、斜めから投影できるプロジェクタを使えば、多少は省スペースで組めるかも。)
  • そのかわり比較的枯れた技術で作られていて、可動が売りでは無いから、メンテ費用は現実的な額で済みそう。(民生用プロジェクタでモドキを作れそうな気もするけど、液晶シャッター式3Dゴーグルに間に合うほどの反応速度は持っているのかは疑問。)
  • でも、誰か一人の視点でしか正しい映像を映せないし、複数人を処理できるライド系と比べてアトラクションには向いてなさそう。(数値的な話だけじゃなく、家族やカップルを分割するのは営業的に辛いのでは。)
  • 対応ゲームのコンシューマ展開も辛そう。(家庭用テレビでも遊べます。ヘッドトラッキング付きヘッドマウントディスプレイを持っていれば、更に楽しめます…と、上手くいけばいいのだけど。)

 あくまで素人判断ですが、楽観的な状況で無いことだけは確実な気が。
■ ソフト
 立体映像というだけで迫力最優先になり、急接近と急回避を繰り返すライド系の出来損ないが完成…という状況に陥らず、木製フレーム越しに手の届く景色を楽しめるゲームに仕上がったのは、良い選択の結果だと思います。
 パイロットウィングス風と一言で済ますことも可能ですが、限られた開発期間でそこに辿り着けたのは、ゲームをわかっている人達が作ったからでしょう。
■ いろいろ
 プレイ中、シートの横に立っていた人を見て、「なんで人が浮いているんだろう」と一瞬感じてしまうほど、意識はゲーム側に行ってしまってました。
 自分は一人称より三人称のゲームが好きで、それは何故かと言えば、世界を外側から覗いている感覚がどうしても抜けなかったからなのですが、今回初めて、世界の内側に入った感覚を得られたわけです*2
 会場で開発者の方から「体感ゲームが失速していなければ、来るはずだった未来」という言葉を聞き、説得力のある言葉と思う反面、それで納得して諦めてはいけないとの気持ちが沸いてきてます。「ラピュタ版を作って、ジブリ美術館に売り込みましょう」とか、冗談交じりの案なら出ましたが、もう少しだけ、ゲーム方向でなんとかなりそうな手段は無いものですかね。
■ 蛇足
 ヘッドトラッキング付のヘッドマウントディスプレイでも一緒じゃないか…と、思った方もいるでしょうけど、

  • ゴーグル内の視野が狭い。
  • ラッキングと画像のタイムラグがある*3
  • 自分の体が見えない。

 こういう理由で今一つだと感じています。個人差もあるでしょうし、人それぞれとは思いますが。

*1:http://www.watch.impress.co.jp/game/docs/20011102/orbs.htm

*2:正しくは「ゲームで」と補足しておきます。プラネタリウムなど、視界の多くを覆った映像に感覚が持っていかれる様は知っていましたし。

*3:今回の機械でもタイムラグは起こり得ますが、影響は歪みであって角度ではありません。